ワールドグランプリ会場にて、いつまでもまとまらないことを考える

20日の日本対ロシア戦観てきましたー。負けちゃったけど楽しかった!(どっちかっていうとドイツ対オランダの方が面白かったけど!)
今日のオランダ戦も立ち上がりが悪くてヒヤヒヤしましたが、結果は3-0のスト勝ち。ヤッタネ!



で、会場で色々考えました。
初の全日本女子観戦かつ、初の「ジャニーズ組み込み」だったんですね。
会場に行く前から、「バレーにジャニーズ」に対して(自分が見える範囲では)あまり肯定的な意見を見かけなかったのは、一体どのへんが原因なのだろう…と思っておりまして。


当初はマーケティング的な観点から、バレーにジャニーズは「No」と思っていました。
マーケティングとは簡単に言うと「効率よく物を売る仕組み」のことでしょうか。そのために市場を分析し、効果的なプロモーションや販売方法を作っていくわけですが。
この考え、結論から言うと破綻しました。


一応、思考の過程をなぞると…
マーケティングにはセグメンテーションという考え方があります。広告代理店さんなんかは「セグメントを切る」と言ったりします。
購買層をカテゴライズして、それぞれの層に対して効果的な売り込み方を考えていく方法です。一般的には年齢、性別、収入等で分けます。TVなんかのマスな広告とは対照的ですね。
極端にいうと、例えばバレーボールの雑誌に紙おむつの広告を載せてもほぼ無意味でしょうし、結婚情報誌にミカサのボールの広告を載せてもハァ?となるわけです。
この論で行くと、TVの前にも試合会場にも、2種類の購買層がいるわけです。つまりバレーボールファンとジャニーズファン。
仮説になってしまいますが、女子バレーボールファンの層が大体男女半々かやや男性多め、年代はバラバラ。ジャニーズファンは10代後半から30代後半くらいの女性。
購買層としては、結構分離してしまうんではないかな…と。
この仮説は、感覚的にではありますが、試合会場で「ほぼ正しい」と思いました。
要するに、バレーボールファンでない購買層をいくら集めても、その日だけのサクラにしかならないんじゃないか。そう思ったわけです。
これが男子の試合だったらまた話が違うのかもしれませんが、やはりそうとも思えません。
それは多分、バレーボールの将来のためになっているとは言えないのでは、と。
そもそも、バレーボールを観たい人とジャニーズを観たい人で、お互いに悪気がなくとも、お互いが邪魔になってしまいませんか。


この考え、ここまでは筋が通っていると思うんですが、では「TV側は」と考えると。
TV側、放送局としてはそれでいいんですよね。バレーボールファンであれジャニーズファンであれチャンネルを回した通りがかりの人であれ、視聴率が高ければそれでいいわけです。それがマスですから。
もちろん試合会場も同じで、人が集まった分だけ入場料になります。
ここで破綻。




また仮説になりますが、バレーボールと芸能事務所をゲーム理論的に考えるとして。
バレーボール側としては、単体では「引き」(=集客力)が弱い。選択肢としては、現状のように芸能事務所と組むか、単独で注目を集める手を考えるか。
芸能事務所側としては、若手の登竜門を確保したい。現状のようにバレーと組むか、他のスポーツと組むか。
お互いに、現状でない方の選択肢は困難に思えます。だからこそ10年以上もこの伝統が残っているのかもしれません。お互いに現状が最適。いわゆるナッシュ均衡ですか。
でもこの理屈、バレーボール単体では引きが弱いという要素がfalseであれば、簡単に崩壊するんですよね。


バレーボールとジャニーズと放送局&試合会場、3者の中で明らかに勝っているのは放送局&試合会場だけですね。なんというか、掌の上というか。
でも、バレーボールは果たして本当に単体では引きが弱いのか。ここは慎重に考えるべきかもしれません。
というわけでゲーム理論は保留。


試合会場で考えを改めた面もありました。
恐らくジャニーズ側の観客(という言い方もナンですが)であろう人たち、もちろん一番盛り上がっていたのはジャニーズのステージの時ですが、それが終わってもすぐ帰るわけでもなく、熱心に全日本女子を応戦しているんですね。それも、試合中にフラッシュを焚くでもなく、ヤジを飛ばすわけでもなく。DJの指示に従い、スティックバルーンを打ち鳴らして。これ、もしかしたらVリーグの試合よりマナー良いかも…
この中からバレーボールファンが残ってくれるといいな…とも思いましたが、モチベーションの源泉が違うので、そこまで求めるのも酷というものですね。そもそもジャニーズ側の観客は、本当はそこにいなかったかもしれないのです。


バレーボールは、ちょっと敷居の高いスポーツかなあと思っています。もちろん他のスポーツも複雑ですが、観戦して「面白い」と思えるまでの閾値が高めかなあと。自分の場合はたまたま、身近に先達がいたので大して苦労せずに済みましたが。
この敷居を乗り越えてきてもらうには、今のプロモーションはやはり「No」なんですよね。
ジャニーズの人たちがもっとバレーボールを勉強してきて、別にリードブロックとかパイプとかそんな言葉が飛び出すほどでなくとも、カメラの前でバレーボールに理解と興味を示してくれれば、バレーとジャニーズの長期的なイイ関係が築けるのでは…とも思うのですが、なかなかどうして。